発声 と 発音
- 星野貴紀
- 2015年11月23日
- 読了時間: 3分
トレーニングしていると、発声 と 発音 を混同することがよくあります。
認識として
【発声】は声を発するためのトレーンング
【発音】は調音のトレーニングと考えます。
つまり、より大きな声や、響き、支え等の総合的な声を出すトレーニングが【発声】で
滑舌や、難読語、早口言葉や畳言葉集など、言葉のためのトレーニングが【発音】です。
では、声を出すための準備をしてみましょう。
一般にも広く認識があるのが【腹式呼吸】ではないでしょうか?
正直、声として外に出れば僕はどんな発声方法でもいいんじゃないかなとは思いますが
腹式呼吸がなぜ、広く発声の基本のように言われているか見てみましょう。
呼吸はまず、どういった目的で行われるのか
空気を吸う、喋るための空気圧を確保する、身体に酸素を取り入れるため
だいたいこんな感じじゃないかと思います。
空気はまず、吸った時にどこに入るのかを考えてあげると
以下に例として挙げる呼吸法の特徴が見えてくるのではないでようか?
a)横隔膜呼吸
胸腔と腹腔の二大体腔を上下に隔てている横隔膜の収縮によって胸腔を下方向にひっぱり、
肺を拡大させる呼吸の方法。いわゆる腹式呼吸がこれにあたります。
吸いこまれる空気の量、発声器(咽喉)からの距離の遠さなどさまざまの条件から、俳優・声優にはこの式の呼吸法が最も良いと言われています。
息を吸うにも筋肉を使わねばいけません。そうした力みが少なければ声を出すときに余計な力がかからずにすみます。
b)肋骨(胸式)呼吸
肋骨筋の働きで左右十二対の肋骨を上に釣り上げることによって、
胸郭を左右ならびに前方に拡大させる呼吸の方法。
この方法は横隔 膜呼吸ほどは胸郭の拡大は大きくありません。
したがって吸い入れる空気の量もずっと少なくなります。
単独では安定せず、使用することが困難でしょう。
c)鎖骨呼吸
これはいわゆる肩で息をするというもので、
努力の割に合わないほど少量の息しか吸う事ができません。
故意に使用する以外では演技には使い道の無い呼吸法でしょう。
こうしてみると我々俳優や声優にとっては、まず横隔膜呼吸が最も望ましく、
次いでこれに単独では使用が困難な肋骨(胸式)呼吸を併用されるのが最上だと言えるようです。
それほどまでに横隔膜呼吸が理想とされる理由は以下のようなことが挙げられます。
① 横隔膜式呼吸は、呼吸の際に使用する筋肉が、本来の発声、調音のための器官の位置よりもずっと遠いところにあるので、発声調音器官の微妙な働きを邪魔する惧れがすくない。
② 横隔膜式呼吸は、他の呼吸に比べて多量の息を出し入れすることができる。
③ 横隔膜式呼吸は、外からほとんど人に気づかれずに息の出し入れが行える。
ところで、この横隔膜式呼吸と肋骨(胸式)呼吸とが併用されるに際しては、
ひとつだけ忘れてはならない大切な注意があります。
それは、これら二つの呼吸法が別々の段階に別れてしまわないように注意しなければならないということです。
つまり、胸と肺とが緊張なく拡がり、二つの段階の継ぎ目が判らないように行うこと。
まずは腹式で、次は肋骨(胸式)でといった順序が別々になることなく一続きのなめらかな動きとなるように練習することが大切なのです。
これを全体式呼吸といいます。
次回は各トレーニング方法についてみてみましょう。
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